『大日本人』『メゾン・ド・ヒミコ』

全裸 モロ北野武 ビートたけし


前回の予告どおり『大日本人』見ました。(まわりは『大日本人』は見たけど『監督・ばんざい!』は見てないという人がやたら多い。)


映画でもいつも通りの松ちゃんでした。松本人志はコントにしても何にしても根底に「批評」のある人だと思います。そういうところが好みです。一般人が見過ごしている常識とか、概念に対して「ホントにそうか?」という疑問。そういうのって広告企画的な発想に近いです。


今回の『大日本人』も、いわゆる「正義の味方」って何?というのが出発点だと思いました。つまり正義の味方に対する批評というか、一般的な「正義の味方」像に対するいろんな疑問を裏返すと、こういうストーリーができるという思考経路はとてもよくわかります。


ただ、それが世間が期待している面白さかというと、それはまた別の話かもしれません。要するに、発想は面白いけど、演出がよくなかったということかも。


ところで、『大日本人』と北野武監督の『監督・ばんざい!』と似た点があるなと思いました。それは「照れ」(あるいは「照れ隠し」)。


監督・ばんざい!』では「自分が監督として行き詰まって悩む姿を、自分が監督する」ことの照れから、北野人形を頻繁に出すことで照れ隠しをしてましたが、『大日本人』の最後も「結局は何でもアメリカに助けてもらう日本のみっともなさ」という批評を正面から表現することの照れ隠しとして、ああいう形式にしたんだと思います。


そして、両作品に対して「あれはないだろ!」と批判されているのが、偶然にもというか、『監督・ばんざい!』での北野人形、『大日本人』の最後の演出であることを考えると、「映画監督は照れちゃダメ」「照れ隠しする映画に名作なし」という結論になるんでしょうか。ということで『大日本人』は10点満点で5点。


『メゾン・ド・ヒミコ』は、始まって20分のところから見始めたり、ご飯食べながら見たせいか、ぜんぜんストーリーが頭に入らず、いい映画だったのかもしれませんが、中途半端なことになってしまいました。


ただ、柴崎コウのバニーガールのコスプレの場面、あそこは大切な場面だと思うのですが、中途半端なバニー姿で、柴崎コウのやる気のなさが見えて、かなり萎えました。監督はよくそれでOK出したなあ。10点満点で5点。犬童一心監督は『ジョゼと虎と魚たち』がかなりよかった。これは7点か7.5点。