『卒業』『俺たちに明日はない』『監督・ばんざい！』
多くの人がそう思うらしいのですが、『卒業』は自分ももっと爽やかな青春映画なのかなと思っていたら、上流階級のお坊ちゃまのモラトリアムのドロドロした三角関係の映画でした。エレンを追いかけまわす様は今だったら完全にストーカー行為で、当時はそういう概念がなかったのだなあと思いました。
ソシュールじゃないですが、あるモノ（やコト）が先に存在して、それを表す「名前」（＝概念）が後で付くというというのは実は間違いで、「名前」を付けるからモノ（やコト）が概念を生むんだということが、改めてよくわかりました。「ストーカー」という名前がない時代は、ストーカー的なコトをしてもただの「しつこい人」「ずっとあとをつけてくる人」という概念しかないですが、「ストーカー」という名前を付けた途端にそれはいわゆるストーカーということになる。「恋愛」という言葉ができたから、「そのいわゆる「恋愛」というものを体験したいわ」とみんなが思う。「自由」という言葉ができたから自由について考えたり、自由を求めたりする。「自由」という言葉がなければ、そもそも自由は存在しない。言葉は不思議です。でもソシュールは映画『卒業』の内容とはまったく関係ありません。10点満点で4点。
『俺たちに明日はない』は原題の『ボニー＆クライド』のほうがよく知られているし、レッドフォード兄さんとニューマン兄さんの『明日に向かって撃て！』と混同しそうでややこしいから邦題も『ボニー＆クライド』にしたらいいのに。フェイ・ダナウェイはよかったですが、世間の評価と比べたら映画自体はそんなにいいとは思いませんでした。ウォーレン・ベイティの中途半端な男前＆優男キャラにちょっと違和感があったり、音楽が牧歌的すぎるような。10点満点で4点。
アメリカンニューシネマの中だと『タクシードライバー』が圧倒的に好きかも。あとは『真夜中のカーボーイ』『明日に向かって撃て！』あたり。まだまだ見てないのも多いですが。
『監督・ばんざい！』は、「前半はよかったけど後半グダグダ、北野武は終わった」という評価が多いようですが、自分は前半はまあまあありがちな感じで可もなく不可もなくでしたが、後半の支離滅裂、訳のわからなさのほうが、面白かったです。10点満点の5.5点。近々『大日本人』を見る予定。
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