『東京タワー』フジテレビ
土曜プレミアム 文化庁芸術祭参加番組「東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン国民的大ベストセラードラマ作品ついに放送母と息子笑い泣いた40年・愛と別れの物語」を見ました。
原作は読んでませんが単なるお涙頂戴ストーリーで全く面白くなかった。人が死ぬのは悲しい。肉親が死ぬのはもっと悲しい。そんなことは当たり前だ。そんなのは、ほとんど生理的な脊髄反射、無条件反射、ヒザの窪みをたたくとピョコンと足が上がるのと同じで、そりゃ見ればな泣く人も多いかもしれないけど、ただそれだけのこと。あまりに当たり前すぎてなんの新鮮味もない。
葛藤とか、何かのカタルシスとか、小ネタ的な面白エピソード、そういうドラマとして最低限必要なものが何もない。ああ、涙はあったから一つはあった。でも、肉親が死ぬ設定なら誰でもどんなドラマでも泣くだろうから、このドラマのオリジナリティはどこにもない。
ただただ、すべてがオカンの死というクライマックスへの前フリでしかなかった。いい小説で感じるような「ああ、(良くも悪くも)人間てこうだよなあ」「まるでこの主人公は(部分的にしろ)自分みたいだ」という共感、発見などというものは元々このドラマに期待していませんでしたが、オカンが大切だけど、でも広末も大切という葛藤とか、イラストレーターとしてだんだん成功していく気持ちよさとか、田舎から上京してきた不安や上京者に共通のあるあるネタとか、同郷の友人とかまわりの人たちの泣かせる友情の小ネタとか、何一つなかった。(単に自分の記憶に残ってないだけなのかな?)
原作はどーなってるんでしょうか。「内容がかなり省略されてる」と原作を読んだ人は言ってましたが。
追記
言いたいことが、もうちょっと頭の中でまとまりました。要するに、人を泣かせることはシステマチックに、すでにあるセオリー(ドラマツルギー)どおりにストーリーを組み立ててれば意外と簡単にできる。だから、泣けたからと言って、それが優れた作品だと思ってはいけない。泣けずとも、もっと心の深いところに響く本とか映画とかドラマを見たい、ということです。
- 作者: リリー・フランキー
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