読書感想文の書き方

daysleeeper2008-08-31


その昔、NHKの「中学生日記」で、読書感想文をみんながネットでコピペして学校で問題になるっていうエピソードがあって、そのとき初めてそういうサイトがあるのだと知った。便利な世の中。最近では大学生がネットをコピペしまくって卒論を書いて問題になってるようですが、ある意味それも仕方ないのか。今年も読書感想文提出の時期が来て、今頃みんなグーグルで「読書感想文」と検索してるんだろうか。自分も学生さんのお役に立つように読書感想文の書き方を書こうかなと思ったけど、長くなりそうだし、時期的に今更だし、他の読書感想サイトと重複するし、短縮して書いてみようかな。


・創作的な文を書くときに、まず一番大事なのは「自分にしか書けないことを、みんなに分かるように書く」。これがすべて。なのでパクリは御法度です。


・パクらない場合でも読書感想文で一番いけないのは、「主人公の太郎がもとの世界に戻って来たとき、百年もたっていてとてもかわいそうだと思いました。」という、「あらすじ+自分はどう思ったか」をいくつも書いていくパターン。「メロスは自分が殺されるとわかっているのに親友のセリヌンティウスのために町に帰ってきたのは、とても勇気のある人間だと思いました。」とか。読書感想文で、あらすじは書く必要一切なし。


・まずその小説・物語のテーマを簡単なワードとか一文にしましょう。たとえば『こころ』なら、「三角関係」とか「仲がよかった人の自殺」とか「年の離れた男の友情」とか。このとき、本をちゃんと読んでいくつかワード出しをしたほうがいいけど、本を読むのが面倒な場合や時間がない場合は、「夏目漱石 こころ テーマ」などで検索すると、とりあえずテーマは出てくる。あるいは、検索「こころ あらすじ」で、あらすじから読み取れる範囲でテーマを考えたりワード出しをすればいい。


・ある意味、テーマ、主題は何でもよくて、そのテーマについて「自分にしか書けないことを、みんなに分かるように書く」のが読書感想文なのではないかと思います。なのでいくつか考えたワードの中で、自分がエピソードが書けそうなものを選べばよい。「三角関係」、「親しい人の自殺」、「年の離れた男の友情」か・・・そういえば、昔、よく行くゲーム屋のおやじと何故か仲良くなって、その人の家まで行ってプレステしたっけ。とかがあれば「年の離れた男の友情」で書く。「三角関係」、「親しい人の自殺」、「年の離れた男の友情」のどれも自分にエピソードがなさそうなときは、もう少し別のテーマ出しをしてみる。(そのとき、これって『こころ』とあんまり関係ないじゃんとか思っても気にしない。ちょっとでも関係ありそうならOK。自分が書けそうなエピソード優先で。)


・それでやっと書き始め。書くときは『こころ』のあらすじとか『こころ』を読んで思ったことを書く必要はなし。読書感想文に限って言うなら「作者が訴えたいこと」とかは気にしなくてよい。先生が知りたいのは、課題図書をフィルターにして「あなたが今までどういう体験をしてきて、それに対してどう思ったか、どんな考えを持っているタイプなのか」ということ。ゲーム屋のおやじの例で話を続けると、そのオヤジと仲良くなったキッカケの場面とか、その人の家まで行ってプレステした場面とか、印象に残ってる会話や一言、いろいろしたりしたこと(アッー!)やその時思ったことを、知らない人に教えてあげるつもりで時系列でも、思い出した順でもいいから、詳しく書いていく。そして最後に、僕は「年の離れた男の友情」っていうのは、要するにこういうことだと思いますという、その内容をまとめとして簡単に書いて締めくくる。これで出来あがり。要するに、自分が体験した出来事のあらすじとそのときの自分の気持ちを書いて、みんなに教えてあげればいい。


読書感想文を今から書こうという人に読んでもらえてるかわからないけど、こんなんでどうでしょうか。この考え方を使って実際に感想文を書くとき、ワンランク上の表現を手っ取り早く身につけたい人は、芦永奈雄さんの『「本当の学力」は作文で劇的に伸びる』を読むのがいいと思います。もっと時間や意欲のある人は、諸先生方の文章読本をどうぞ。


(2010.09.03追記)
また読書感想文の季節ですね。2年前のエントリだけど、感想文は上に書いた方法でうまく書けるはず。要は、自分が今まで体験したことや何か印象的な出来事と、課題図書のテーマとが重なる部分を探したり考えたりすればいいということ。

2年ぶりに自分の文を読み返すと「課題図書のことは一切無視していい」ような書き方をしてましたが、ちょっと補足。

「そして最後に、僕は「年の離れた男の友情」っていうのは、要するにこういうことだと思いますという、その内容をまとめとして簡単に書いて締めくくる。」の部分を詳しく言うと、「この小説で作者は「年の離れた男の友情」についてこう思ってそう(あるいは、こう書いてる)けど、自分の体験から言うと「年の離れた男の友情」というの僕は要するにこれこれこういうことだと思います」というふうに、課題図書と自分の体験・考えと対比させながら書くといいです。

もし、作者と自分が「年の離れた男の友情」について同じ考えの場合でもOK。あるいは、「僕は今まで「年の離れた男の友情」を(自分の体験を通して)こんな風に考えていたけど、この小説を読んでこういう風に考えが変わった」などでももちろんOK。がんばってください、書けます。







「本当の学力」は作文で劇的に伸びる
「本当の学力」は作文で劇的に伸びる芦永 奈雄

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