『吉本隆明 五十度の講演』

糸井重里  偽装


将来フリー公開を目指しているとのことですが、何年も待てないのでほぼ日ストアで『吉本隆明 五十度の講演』を私財を投げ売り、大金を投じて買ってみました。


まずはダイジェスト版の『吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜』を買ってもよかったのですけど、どちらにしてもいずれフルバージョンが聞きたくなるのは分かっているので、最初から完全版のほうを。


全50講演、7000分、115時間なので、ぜんぜん聴けていませんが、共同幻想論のところの「言葉と貨幣の類似性」みたいなセクションで、「言葉というのは物理的な価値(?)でとらえると、小説などの印刷物なら紙の上に乗ったインクであり、話し言葉なら空気の振動にすぎないのだけど、交換(=言葉の場合で言うならコミュニケーション)という過程をとった瞬間、言葉は違う価値(=使用価値?)を持つようになる。これと同じ性質のものが他に何かあるかなと考えると、これはまさに貨幣の性質と同じであって、そう考えると言葉と貨幣には類似性がある」という部分を聞いて、頭がクラクラ~としました。頭クラクラ状態というのは、目からウロコのワンランク上のことです。


共同幻想論は一つのまとまった体系ということではなくていろんな話が渾然一体となっていてむずかしいので『資本論』の「第一章 商品」はなんとか理解したいと前から思っているのですが、あんまし理解できてません。


人間の創造性や知性のコアは「一見異質な別々のものごとの中に共通性を見つけ出して一つにまとめること」だと思うので、そういう場面に出会うと頭がクラクラします。それが、ものの考え方であっても、科学であっても、音楽であっても、芸術であっても。


そういう作業はコンピュータの最も苦手とする部分で、創造力のあるコンピュータというのを見てみたいですが、まだまだ実現できないと思う。擬似人工知能や○○○メーカーのような、ある種の乱数的、偶発的、組み合わせというのは今でもできて、それが一見コンピュータの知性のようにも見える(?)けど、人間の創造力と比べたら、というか比べるレベルに行ってないような。人間の脳の働きの一部にはもちろんセレンディピティのように偶然性が大きく関係する場合もあることはあるのだろうけど。




吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜
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